尿中の固形成分の変化が各種の病気の存在を知らせる
尿中の固形成分の変化が各種の病気の存在を知らせる
尿沈渣
1、どんな検査?
尿中に存在する固形成分の形や数の状態を調べる。
尿潜血や尿たんぱくの検査で異常所見があった場合に実施する検査のひとつ。
2、異常値を示す主な病気
下記[◆尿沈渣の異常から疑われる主な病気]参照
基準値
[赤血球]
1視野5個以内
[白血球]
1視野5個以内
[円柱細胞]
陰性(-)
[上皮細胞赤血球]
1視野少数
[結晶成分]
1視野少量
・腎臓、尿路系以外の病気でも変化が出る
腎臓、尿路系をはじめとする各組織に異常が起きると、
尿中の固形成分の形態や数に変化が生じます。
この検査では、
採取した尿を遠心分離器にかけて成分を沈殿させ、
顕微鏡を使って各成分の数などをし調べます。
そして、例えば赤血球数が多ければ尿潜血(血尿)が、
白血球しいが多ければ濃尿が認められるなとと言うように判断して、
それらの変化が起きる病気の推測を行う事になります。
・尿中の固形成分とは?
赤血球と白血球の成分、
円柱細胞は赤血球や白血球、
粘膜などの細胞の微細な固まり、
上皮細胞は粘膜や尿路などの細胞が剥離したもの、
結晶成分は体内の物質が結晶化したものです。
そのほか、尿中には卵円形脂肪体、
細胞質内封入体、真菌、原虫など、
さまざまな固形成分が存在しています。
いずれも障害が起きている部分から出てきます。
それらを確実に観察して、検査結果を出す事になります。
◆尿沈渣の異常から疑われる主な病気
増加成分:赤血球
疑われる主な病気:急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、
腎腫瘍、特発性腎出血、腎結石、尿路感性症、
尿路腫瘍、尿路結石、膠原病、心不全、動脈硬化など
増加成分:白血球
疑われる主な病気:尿道炎、膀胱炎、
腎盂腎炎、結核、クラミジアなど
増加成分:円柱細胞
疑われる主な病気:急性腎炎、慢性腎炎、腎盂腎炎、
ネフローゼ症候群、糖尿病腎症、高血圧、心不全など
増加成分:結晶成分
疑われる主な病気:腎結石、急性肝炎、閉塞性黄疸、
高尿酸血症、痛風など
アドバイス
この検査では多くの場合、尿潜血、尿糖、
尿たんぱくなどの関連検査の結果とも突き合わせながら、
起きている病気の絞り込みを行い、
さらにそれに対応した精密検査などを実施して、
確定診断につなげます。
《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版