尿の比重のわずかな違いが腎臓などの異常を告げている
尿の比重のわずかな違いが腎臓などの異常を告げている
・尿比重
1、どんな検査?
尿中の含有成分と水分の割合を調べる。
一定の割合を終える異常値は、
腎機能か内分泌機能に異常が生じていることを反映する。
2、異常値を示す主な病気
[高値]
糖尿病、ネフローゼ症候群、発熱、
心不全、下痢、嘔吐、発汗など
[低値]
慢性腎炎、腎不全、尿崩症、
心因性多飲など
基準値
1.020~1.025
・主に腎機能の状態が尿比重に反映される
尿中には、水分以外に、さまざまな成分が含まれています。
個々の成分の比重はさまざまですが、
全体をあわせると、水より若干重くなります。
腎臓は、体内にとどめておくべき水分量を調整しながら尿を作っています。
仮に腎臓でろ過される物質の量に変化がなくても、
その水分調整により排出水分量が変化すれば、尿中の物質濃度が変化し、
それが尿比重に反映されます。
つまり、腎臓の状態が、尿比重の数値となって現れるのです。
尿比重の基準値は上記のとおりですが、
じつは、尿比重は、健康でも1.010~1.030程度の幅で変化しています。
基準値は、一定の条件下で検査した時の数値なのです。
そのため、上記の数値を外れている場合を、異常値として扱っています。
・腎機能以外に原因があるケースもある
尿比重が低値であれば、腎機能の低下が、まず心配されます。
血液中の不要成分が適切にろ過されていないために、
比重が低値になっていると考えられるからです。
ただ、腎不全になると、
水分の排出そのものができにくくなっていくため、
逆に尿が濃縮され、高比重になることがあります。
そのほか、糖尿病や心不全などでも、尿の濃縮が生じて、
高値を示します。
実際に起きているかは、ほかの検査によって確認する事になります。
◆尿比重の検査手順
1前日夕食=たんぱく食+200ml(以後、飲食禁止)
2当日起床時に採尿
31時間後に採尿
4位時間後に採尿(以後、飲食自由)
アドバイス
上記のように、尿比重は基準値の幅を超えて変動しているのがふつうです。
検査前に食事や採尿のしかたについて指示が出るのは、一定の条件下で検査する必要があるからです。
したがって、その指示は、確実に守る必要があります。
《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版