2種類のアミラーゼを2つの視点からチェックする

2種類のアミラーゼを2つの視点からチェックする


アミラーゼ(尿/血清)

 


1、どんな検査?

 

消化酵素の一種であるアミラーゼの分泌組織などに障害が起きると、
血液や尿への流出量が変化する。
その障害の有無を探る検査。

 


2、異常値を示す主な病気

 

[高値]
急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、耳下腺炎、
糖尿病、胆道炎、胆嚢炎など

 

[低値]
膵炎末期、肝硬変、重度の糖尿病など

 

 

基準値

[尿(酵素法)]
65~840IU/l


[血清(酵素法)]
60~190IU/l

 


・2つの検査値の動向から起きている病気を判別

 

アミラーゼ検査は、

血清と尿の2つの検体を採取して行われます。


両検査値の動向の差が、病気の判別に利用できるからです。


異常値を示す一般的な病気は上記の通りですが、
下記に記載する内容に、その概要を示しておきます。

 


・分泌臓器の違いから起きている病気を判別

 

アミラーゼの分泌臓器は、膵臓と唾液腺です。


2つの臓器から分泌されるアミラーゼは、
その分子構造(アイソザイム)が微妙に異なります。

 

膵臓由来のものをP型、唾液由来の物をS型といいます。

 

検出されたアミラーゼにどちらの型が多いかを調べる事でも、
障害が起きている臓器や病名を絞り込むのに役立ちます。

 

 


アミラーゼ値の動向と疑われる主な病気

 

[血清、尿がともに高値]
急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪機、膵臓がん、
膵嚢炎、糖尿病、胆道炎、胆嚢炎、胆石、
腸閉塞、腸間膜動脈閉塞、腹膜炎、
胃潰瘍穿孔、十二指腸潰瘍穿孔、肝硬変、
慢性肝炎、耳下線炎など

 

[血清のみ高値]
腎不全、マクロアミラーゼ血症、
高唾液型アミラーゼ血症など

 

[血清、尿がともに低値]
慢性膵炎の末期、肝硬変、重症の糖尿病、
シェーグレン症候群など

 


◆アイソザイムから見た判別

 

[P型、S型がともに増加]
慢性腎不全、慢性肝炎、肝硬変など

 

[P型の増加が目立つ場合]
急性膵炎、再燃した慢性膵炎、マクロアミラーゼ血症、
膵臓がん、膵臓損傷、ショック、胆道がん、胆石、
胆管結石、糖尿病など


[S型の増加が目立つ場合]
耳下線炎、唾液線炎、肺がん、大腸がん、卵巣がん
肝臓疾患、胆道疾患、肺炎、肺結核、子宮外妊娠など


[P型の低下が目立つ場合]
膵臓がん、慢性膵炎の末期など


[S型の低下が目立つ場合]
シェーグレン症候群など

 

アドバイス
異常値が出た場合、

多くはきちんとした治療を要する病気が起きていることを示唆しますが、
なかには、

マクロアミラーゼ血症(分泌されるアミラーゼの分子が

通常より大きくなるもの)などのように、
治療する必要のないもあります。

 

 

《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版