尿の酸性度変化の原因は、病気のほか日常生活の中にも存在する
尿の酸性度変化の原因は、病気のほか日常生活の中にも存在する
・尿pH(ペーハー)
1、どんな検査?
pHは水素イオン濃度の略称で、酸性度ともいう。
尿pHの測定により、腎臓や肺の機能異常の有無を探る。
試験紙を用いて行う。
2、異常値を示す主な病気
[高値]
呼吸性アルカローシス、代謝性アルカローシス、
腎盂腎炎、膀胱炎など
[低値]
呼吸性アシドーシス、代謝性アシドーシス、
糖尿病、発熱など
基準値
pH
5.0~7.5
・体内も尿も弱酸性がふつうの状態
中性は、pH7です。血液などの体液は、腎臓の働きにより、
基本的にはpH7.4~7.5の弱アルカリ性の状態になっています。
これを酸塩基平衡といいます。
ただ、体内では尿素窒素や二酸化炭素などの酸性物質が生まれているため、
弱酸性の方向に傾いているのがふつうです。
これが尿の酸性度にも反映されていて、
正常な尿は弱酸性を示します。
この検査で基準値より高値を示した場合をアルカリ尿、
低値を示した場合も酸性尿と呼んでいます。
・異常値の2大原因は腎機能化呼吸機能の異常
異常値を示す原因としては、体内の酸塩基平衡を調整している
腎臓の機能に異常が生じていることが、まず考えられます。
そのほか、肺の呼吸機能に異常が生じて、
酸素濃度や二酸化炭素濃度が変化したり、
発熱などが原因で尿酸値が上昇したりしても、
異常値が出る原因になります。
さらに、下記に示すように、日常生活上のさまざまな要因によって、
アルカリ尿や酸性尿が出る事があります。
そのような理由が特に無いにもかかわらず、
尿pH検査で異常値が出た場合は、
上記に示したような病気が起きている恐れがあります。
そのときは、
同時に実施した尿検査や2次検査などの関連検査の結果とあわせて、
総合的に判断する事になります。
◆日常生活で異常値が出るケース
異常:アルカリ尿
要因:ビタミンB2、降圧利尿薬、制酸薬、
ステロイド薬、サルファ剤などの
アルカリ性薬品の服用、野菜、
果物などのアルカリ性食品の摂取
異常:酸性尿
要因:消化薬などの酸性薬品の服用、
肉類などの酸性食品の摂取、運動のあと、発熱時
アドバイス
日常生活上の要因によって異常値が出ても、
基本的に問題はありません。
ただ、検査前に上記のような状況がある場合は、
事前に医師にその旨を伝えておきましょう。
検査結果の判断に、役立つことがあります。
《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版