消化器系がん、とくに膵臓がんの診断や経過観察に役立つマーカー
消化器系がん、とくに膵臓がんの診断や経過観察に役立つマーカー
1、どんな検査?
CA19-9は、膵臓がんを中心とした消化器系のがんが発生すると、
血清中に増加してくる物質。とくに膵臓がんの診断に活用される。
2、異常値を示す主な病気[高値のみ]
膵臓がん、胆管・胆道がん、胆嚢がん、
大腸がん、胃がん、肝臓がんなど
基準値
37U/ml以下
(ラジオイムノアッセイ法)
・膵臓がんの診断や治療効果の判定に活用される
CA19-9は、消化器系の臓器にがんが発生すると、
血清中に増加してくる物質です。
そのため、消化器系のがんにかかわる腫瘍マーカーとして
活用されています。
とりわけ膵臓がんに対する特異性が高く、
その診断に役立てられています。
ただし、膵臓がんをはじめとする消化器がんの発病初期には、
検査数値の明らかな上昇が見られないケースが多いです。
この検査で発病の早期発見をするのは、事実上無理です。
CA19-9が役立つのは、がんの治療が開始された後の、
治療効果の確認や、がんの再発の発見などといった場面です。
・大幅な高値は悪性、微妙な高値は良性
高値と言っても、その数字には幅があります。
たとえば、膵臓がんでは、
1000U/mlを超えるケースが珍しくありません。
膵臓がんに限らず、ある程度進行したがんが存在していれば、
それなりに高い数値が出てきます。
つまり、悪性の病気が原因である恐れが強いのです。
基準値より少し高い、といったレベルの高値の場合は、
その多くが、がん以外の病気が原因となっています。
がんではないという意味で、良性の病気とも称していますが、
これは「放置してよい病気」という意味ではなく、
あくまでも、「がんではない病気」ということですから、
原因となる病気の治療は、当然必要になります。
◆擬陽性の場合に考えられる病気ベスト5
1、卵巣嚢腫 50%
2、気管支拡張症10%
3、胆石症 10%
4、腎炎 10%
5、肝硬変・肝炎 8%
アドバイス
CA19-9については、日本人の場合、遺伝的に血中濃度が低く、
検査でも反応が鈍いタイプの人が5%ほどいます。
そのグループの人にこの検査をしても意味がないので、
CA50などの腫瘍マーカーを調べることになります。
《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版