前立腺がんの早期発見にも役立つ優れた腫瘍マーカー
・[腫瘍マーカー]PSA
1、どんな検査？
PSAは、前立腺にだけ存在する糖タンパクの一種。
前立腺がんなどによりその血中濃度が上昇するので、
その診断に活用する。
2、異常値が示す主な病気[高値のみ]
前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎など
基準値
4.0ng/ml以下(ラジオイムノアッセイ法)
3.0ng/ml以下(ラジオイムノアッセイ/タンデムPSA法)
・スクリーニングにも経過観察にも対応
PSA(前立腺特異抗原)は、
健康でも血液中にわずかに存在していますが、
前立腺がんが発生すると、その血中濃度が上場します。
前立腺がんに関係する腫瘍マーカーはいくつかありますが、
PSAは、その中でもとくに信頼性の高いものといえます。
腫瘍マーカーの多くは、
治療効果を確認する経過観察用としての存在意義をもっており、
PSAも当然、そのために活用されています。
さらにPSAが優れているのは、
基準値を少し上回った程度の検査力も、
前立腺がん発病の手がかりが得られるという点です。
もちろん、それだけで診断できるわけではありませんが、
そのレベルではほかに症状らしい症状が
出ていないのが普通ですから、
スクリーニング検査としての有用性は明らかです。
・ポイントとなる検査値は2つ
検査値が基準値の上限を超えているかどうかが、
まず第一のポイントになります。
やや超えた程度(軽度上昇)でも、
早期の前立腺がんの疑いが生じます。
ただし、前立腺肥大症や前立腺炎でも、
軽度上昇が見られるので、その判別のための検査を必ず行います。
第二のポイントは、10ng/ml以上の場合(中等度上昇・高度上昇)です。
前立腺がんが存在している事を、強く示唆する数値です。
この場合も、一連の追加・精密検査をして、
診断を確定することになります。
◆前立腺がんの確定診断までの流れ(基本的ケース)
PSA検査：直腸診
陽性：肛門から指を入れ、前立腺の状態を入念にチェック
PSA検査：径直腸的超音波検査
陽性：前立腺疾患専用の検査装置を使い、
形状や大きさ、位置などを確認
PSA：前立腺生検
陽性：組織を採取して、がん細胞の有無を確認
アドバイス
PSAの数値が10ng/ml以上を示している場合の前立腺がん検出率は、
早期がんでは50%以下、進行がんでは90%近くなります。
きわめて高い確率といえるでしょう。
ただ、前立腺肥大などでも30%程度で陽性となりますから、
要注意です。
《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版
