肝臓がん・肝臓疾患の特異的なマーカー

肝臓がん・肝臓疾患の特異的なマーカー


・[腫瘍マーカー]AFP


1、どんな検査?

AFPは、妊娠早期の胎児の肝臓で作られるたんぱく質
原発性肝臓がんのほとんどで検出されるので、
マーカーとして活用する。


2、異常値を示す主な病気[高値のみ]

原発性肝臓がん、肝芽腫、卵黄膿腫瘍、
肝硬変、回復期の劇症肝炎、転移性肝臓がん、
慢性肝炎、急性肝炎、先天性胆道閉鎖症など


基準値

20.0ng/ml以下
(ラジオイムノアッセイ法)


・肝臓がんの約80%で検出される

AFPは、健康な成人にはほとんど存在しない物質ですが、
もともと胎児の肝臓で産生されていたものだけに、
増殖性のあるがんが肝臓に生じると、成人でも現れ、
血清中の数値が増加します。

検出される確立は肝臓がん(肝細胞がん)の約80%と、
腫瘍マーカーのなかでもトップクラスの高さを示しています。
そのため、肝臓がんの判定に、広く活用されています。

ただ、がんの進行の度合いが少なく、
がんが小さい場合は、その確立が小さくなりますから、
仮に陰性かそれに近い数値があっても、
100%安心というわけではありません。


・数値が高いほど肝臓がんの存在確立も高まる

検査数値が高いと、がんが進行しているのではないかと
心配する人がいますが、がん組織の大きさと検査数値の高さとは、
比例関係がほとんどありません。
進行の度合いについては、画像検査など、
ほかの検査と総合して判定する事になります。

また、肝硬変などでも高値を示しますが、
その場合は、対症療法の進行に伴って数値が低くなっていくことで
区別できます。


ただ、検査数値の高さと、肝臓がんであるかどうかについては、
上に示したように、かなり明瞭な関係が認められます。

つまり、数値が高いほど、肝臓がんが起きている確立が高いということです。

 

◆検査値と原発性肝臓がんの存在の可能性

・陰性 まれに原発性肝臓がんあり
・20~200ng/ml まれに原発性肝臓がん
・200~3000ng/ml 75%が原発性肝臓がん
・3000ng/ml以上 95%が原発性肝臓がん


アドバイス

肝硬変の人にAFP検査を実施することがあります。
AFPが腫瘍マーカーだと知っている人は、
「もしや自分は肝臓がん?」と心配になるかもしれませんが、
これはがんの合併の早期発見を目指すもので、
現在がんがあるわけではありません。

 

 

《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版