がんの種類の特定は無理でも、その存在を強く伝える腫瘍マーカー

がんの種類の特定は無理でも、その存在を強く伝える腫瘍マーカー


・[腫瘍マーカーCEA


1、どんな検査?

CEAは、胎児の腸管だけに見られる糖タンパクの一種。
大腸がん、など各種がん細胞からも産生されるので、
マーカーとして活用する。


2、異常値を示す主な病気[高値のみ]
大腸がん、胃がん膵臓がん、胆道がん、
肝臓がん、食道がん、肺がん、乳がん
甲状腺がん、子宮がん

 

基準値

[Z-ゲル法]
5.0ng/ml以下

[サンドウィッチ法]
2.5ng/ml以下


・主に消化器系のがんで血中濃度が上昇する

CEAは、胎児の腸管で出来る物質で、成人ではほとんど存在しません。
しかし、消化器系を中心とした臓器にがんが発生すると、
その進行に従って、血中濃度が上昇してきます。

もともと、CEAは大腸がんの肝転移組織から見つかったものですが、
その後肺や胆汁、糞便中などからも検出されて、
広い範囲の腫瘍マーカーとして使われるようになりました。

CEAが高値の場合に想定できるがんは、まず、
大腸・胃・膵臓・胆道などの消化器系のものです。

そのほか、肺・肝臓・甲状腺・乳・子宮・卵巣などのがんでも、
高値を示すことがあります。

 

・がん以外の病気で高値を示すこともある

一般に、CEA値が20ng/ml(Z-ゲル法)程度まで上昇していると
がんの発生の恐れがあると考えます。

それ以上なら、がんが転移していることが想定できます。

一方、CEA値は、がん以外の病気でも高値を示すことがあります。
肝硬変や腎不全、甲状腺機能低下症など、
異常値が出たらがんが発生している証拠、とはいえないのです。
ただ、それらの病気が背景になって生じる高値は、
多くの場合、がんによる高値より低い水準になります。

なお、治療によりがん組織が破壊されてCEAが血中に流出し、
検査値が高くなることもあります。


◆がん以外でCEA値が高値を示すケース
・肝硬変
・肺炎
・膵炎
・腎不全
・肺炎
・肺結核
潰瘍性大腸炎
・胃・十二指腸潰瘍など

※これらの病気でもCEA値が高値を示すことがありますが、
上昇の程度は大きくありません。


アドバイス

CEA値は、高齢になると上昇傾向を示すことがあります。
また、日常、タバコを吸う人も、高値を示すケースが良くあります。
とくにヘビースモーカーに良く見られます。
該当者は、検査前に、医師にその旨を伝えておきましょう。

 

 

《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版