急性肝炎では低値になるのに、慢性肝炎では高値を示す不思議!?

急性肝炎では低値になるのに、慢性肝炎では高値を示す不思議!?


・血清総たんぱく

 

1、どんな検査?
血液中に含まれる各種たんぱく質の総量を調べる。

体内のたんぱく質の生成と破壊のバランスが崩れると、

異常値を示すようになる。

 

2、異常値を示す主な病気
[高値]慢性肝炎、悪性腫瘍、γ-グロブリン血症、骨髄腫など
[低値]急性肝炎、肝硬変、急性腎炎、ネフローゼ症候群など


基準値
[成人]6.4~8.0g/dl


・生成、ろ過、再吸収のバランスが崩れて異常値が出る


血清たんぱくのほとんどが生成される肝臓に障害が起きると、

異常値の原因になります。例えば急性肝炎では、

肝機能の低下により、

血清たんぱくのアルブミンが減少して低値を示します。

 

ところが、不思議な事に慢性肝炎では高値になります。

 

これは、血清たんぱくのグロブリンが増加してくるためです。

 

肝臓に障害が起きても、異常値が出る原因になります。

 

血清たんぱくは、肝臓でろ過、排出されたのち、

有用成分のひとつとして再吸収されますが、

例えばネフローゼ症候群になると、たんぱく質のろ過、

排出が過剰になり、再吸収がそれに追いつかなくなります。

 

そのため、血清総たんぱくの検査値は低値を示すようになります。

 

腎機能障害で起きる異常値は、いずれも低値になります。

 

そのほか、急性腎炎やたんぱく漏出性胃腸炎などでも、

たんぱくの過剰排出により低値を示します。

 

 

・異常値が出たら、2次、精密検査を行う


この検査だけで診断を得る事はむずかしいので、

明らかな異常値が出た場合には、

2次、精密検査を実施します。

 

関連検査としては、アルブミン/グロブリン比、

血清たんぱく分画、AST、ALTなどがあります。

 

なお、2次検査などの対象になるのは、

検査値が8.5g/dl以上(高たんぱく血症)か

6.0g/dl以下(低たんぱく血症)の場合です。

 


◆血清たんぱく分画の基準値


分画:アルブミン/割合:57~69%/血清1dl当たり:4~5g
分画:α1-グロブリン/割合:2~4%/血清1dl当たり:0.15~0.3g
分画:α2-グロブリン/割合:6~12%/血清1dl当たり:0.4~0.9g
分画:β-グロブリン/割合:6~10%/血清1dl当たり:0.4~0.7g
分画:γ-グロブリン/割合:11~24%/血清1dl当たり:0.8~1.7g


※血清たんぱく分画とは、

血清に含まれる主要なたんぱく質の種類ごとの含有割合の事です。


アドバイス
基準値をわずかにはずれている場合は、

経過観察の対象になります。

 

加齢現象として高値・低値を示す事があるほか、

日常の栄養摂取・水分摂取の傾向などが、

検査値に反映されることがあるからです。

 

医師からアドバイスがあれば、ぜひ改善を!


《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版