白血球分画の増減を調べて、起きている病気をある程度絞り込む

白血球分画の増減を調べて、起きている病気をある程度絞り込む


・白血球分画(白血球像)

 

1、どんな検査?
白血球は、種類によって形や働き、

病気による増減のしかたが異なる。

その増減の様子を調べ、起きている病気が何かを推測する。

 

2、異常値を示す主な病気
下記【◆白血球分画から推定できる病気の例】参照


基準値
好中球:40~60%
好酸球:1~5%
好塩基球:0~1%
単球:4~10%
リンパ球:30~45%

 

・さまざまな病気が数値の増減の原因になる


下記【◆白血球分画から推定できる病気の例】に記載した、

数多くの病気が白血球の各分画の増減にかかわってきます。

 

感染症の病気、骨髄や血液の病気、内分泌の病気など、

その種類は広範にわたっています。

 

喫煙の影響で、好中球の数が軽度の上昇を見せる事もあります。

 

白血球は、このように、さまざまな要因で変化するのです。

 

・2次、精密検査を行って確定診断を得る


上記のように、

白血球分画で確定診断を得る事はほとんどできません。

 

血小板症た赤血球沈降速度、

CRPなど、想定される病気に対応した2次、精密検査を行って、

診断を確定させることになります。


◆白血球分画から推定できる病気の例

 

分画:好中球/

異常:高値/

推定できる主な病気:扁桃炎、肺炎、骨髄炎、慢性骨髄性白血病

赤血球増多症、脳炎、急性胃腸炎、胆のう炎、腎不全、

心筋梗塞痛風、尿毒症、悪性腫瘍、急性出血など

 


分画:好中球/

異常:低値/

推定できる主な病気:重症敗血症、結核、重症肺炎、チフス

急性白血病再生不良性貧血、悪性貧血、骨髄異形成症候群など

 


分画:好酸球/

異常:高値/

推定できる主な病気:気管支ぜんそくアトピー性皮膚炎、

アレルギー性鼻炎、じんま疹、各種寄生虫病、好酸球性肺浸潤、

ウェゲナー肉芽腫、サイコイドーシス、肺がん、潰痕性大腸炎

慢性骨髄性白血病赤血球増多症、甲状腺機能亢進症、副腎機能不全など

 


分画:好塩基球/

異常:高値/

推定できる主な病気:各種アレルギー性疾患、慢性骨髄性白血病

赤血球増多症、骨髄異形成症候群、粘液水腫、

潰痕性大腸炎甲状腺機能低下症

 


分画:単球/

異常:高値/

推定できる主な病気:チフス結核マラリア、じんま疹、

感性症心内膜炎、慢性骨髄単球性白血病悪性リンパ腫

潰瘍性大腸炎、顆粒球減少症、サルコイドーシスなど

 


分画:リンパ球/

異常:高値/

推定できる主な病気:各種ウイルス感染症、梅毒、結核

百日ぜき、慢性リンパ性白血病潰瘍性大腸炎

クローン病バセドウ病など

 


分画:リンパ球/

異常:低値/

推定できる主な病気:HIV感染症、肺炎、結核再生不良性貧血

悪性リンパ腫、免疫不全など

 


※そのほか、各種薬剤の使用により、それぞれの分画が異常値を示す事も珍しくありません。


アドバイス
本文で喫煙による好中球の変動について触れましたが、

薬物が影響すつこともあります。

 

たとえばステロイド薬は好中球を増加させ、

抗がん剤抗生物質などが好中球を減少させることがあります。

 

薬物使用中の人は、医師にその旨を伝えましょう。

 

《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版