昔は結核の検査、現在は炎症などの補助的検査

昔は結核の検査、現在は炎症などの補助的検査


赤血球沈降速度

 

1、どんな検査?
抗凝固剤を混ぜた血液をガラス管にとり、

1時間後に赤血球がどれだけ沈むかを調べる。

 

2、異常値を示す主な病気
[高値]貧血、肺炎、扁桃炎、腎盂腎炎、膠原病など
[低値]赤血球増多症、肝炎、播種性血管凝固症候群、アレルギー性疾患など


基準値
[男性]1-7mm/h
[女性]3-11mm/h


・炎症性の病気があると高値を示す


赤血球沈降速度検査(赤沈)は、

以前は血沈とも呼ばれ、とくに結核の検査として知られていた、

歴史のある検査法です。

 

赤血球沈降速度は、

血液凝固因子であるフィブリノーゲンや、

免疫にかかわりの深い血中たんぱく質グロブリンの濃度が高いと、

早くなります。

 

これは、白血病赤血球が少なくなっている場合にも、

沈降速度は上昇します。

 

逆に、フィブリノーゲンの濃度が低かったり、

血中たんぱく質アルブミンの濃度が高かったりすると、

沈降速度は遅くなります。

 

赤血球増多症で赤血球が増加している場合も、速度は遅くなります。

 

・この検査だけで確定診断をすることはない


この検査で異常値が出ても、

何らかの病気が起きている証拠にはなりますが、

どこで何が起きているかと言う事までは分かりません。

 

したがって、補助的な検査という位置づけになっています。

 

また、炎症の鎮静化とこの検査値の動向が正比例するため、

炎症性疾患の経過観察の指標としても活用されています。

 

この検査と並行して、

C反応性たんぱくの検査が行われることがあります。

 

これは炎症などが起きると血液中に増えてくるたんぱく質で、

異常時の増加反応が速いため、急を要する場合にこの検査が行われます。

 


◆ESRとCRPから想定される主な病気


検査の結果:

ESR=高値及びCRP=高値の時は炎症性疾患、組織崩壊など


検査の結果:

ESR=高値及びCRP=正常の時は急性炎症の回復期、

ネフローゼ症候群、貧血、高γ-グロブリン血症、(妊娠)など


検査の結果:

ESR=正常及びCRP=高いの時は急性炎症の初期、

赤血球増多症、低フィブリノーゲン血症など


アドバイス
赤血球沈降速度検査の数値は、

高齢者ではやや高くなるほか、

女性の場合は生理中や妊娠後期に高くなる傾向があります。

 

しかし、20mm/h未満なら、

ほとんど気にする必要はありません。

 

これは、ほかの人の場合も同様です。

 

《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版