2つの数値の増加のしかたから、起きている病気の手がかりをつかむ
2つの数値の増加のしかたから、起きている病気の手がかりをつかむ
・AST、ALT
1、どんな検査?
AST(GOT)とALT(DPT)は、
肝機能異常などがあると、その血中濃度が高値を示す。
2、異常を示す主な病気
急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、
基準値
[AST]3~32IU/l
[ALT]3~38IU/l
・高値は肝臓などの異常の証拠
ASTは肝臓に多く分泌していほか、
骨格筋や心筋、肝臓などにも広く分布しています。
ALTも同様ですが、とりわけ肝臓への分布量が多くなっています。
ASTとALTは、それが存在する細胞に異常が起きると、
血液中に流れ出します。
そのため、逸脱酵素という呼ばれ方もしています。
したがって、その血中濃度の上昇は、
体のどこかに異常が起きている証拠となります。
ただ、上昇の程度が軽いケースでは、
体のどこに異常が起きているかの判断はほとんどできません。
それでも、中等度の上昇になっていれば、
肝臓の障害が原因である確率がおおきくなります。
特にALTが中等度になっていれば、
肝臓の障害であることがほぼ確実です。
ASTの場合は、肝臓の障害のほかに心筋梗塞や溶血、
骨格筋の重大な障害が原因になる事もあります。
・ストレスが高値の原因になることも
肥満や、検査日直前の過度の飲酒、激しい運動、
ストレスの過剰蓄積、ステロイド薬の使用などが
検査値を上昇させる原因になるケースもあります。
ただし、高値を示すと言っても50IU/l程度が上限で、
それ以上の数値を示す原因にはなりません。
◆AST,ALTの上昇バランスから考えられる主な病気
上昇バランス:AST>ALT/
主な病気:急性肝炎、
劇症肝炎(早期)、アルコール性肝障害、肝硬変、
肝臓がん、うっ血肝、薬物性肝障害、心筋梗塞、
上昇バランス:AST<ALT/
主な病気:慢性肝炎、急性肝炎、脂肪肝、劇症肝炎(後期)、
薬物性肝障害、アルコール性肝障害、急性胆管炎、甲状腺機能異常など
※主な病気には、
どちらも同じ病名が入っているケースがあります。
これは、個々の人の体の個性や病気の進行のしかたが
異なるなどの理由によるものです。
アドバイス
慢性肝炎と診断された場合、
食事指導が行われます。
以前は高たんぱく食が推奨されていましたが、
現在では多くの場合、栄養バランスを重視した栄養指導に変化しています。
また、アルコール性肝疾患の人は、必ず禁酒を実行しましょう。
《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版