ウイルスそのものではなく、その存在の証拠をとらえる検査

ウイルスそのものではなく、その存在の証拠をとらえる検査


B型肝炎ウイルス

 

1、どんな検査?

B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査。
実際には、ウイルス(抗原)とそれに対する抗体の有無を調べる。


2、異常値を示す主な病気

急性B型肝炎、慢性B型肝炎
HBVキャリア、肝硬変、肝臓がんなど

 

基準値

陰性(-)

 

・ウイルスマーカーにより感染の事実や程度を調べる

HBV検査は、B型肝炎ウイルスそのものを見つける検査ではなく、
ウイルスが存在していると現れる物質を確認する検査です。

 

これを、ウイルスマーカーといいます。

 

HBVは、遺伝子を含む核の周りを、

たんぱく質の外被がおおう形になっています。


この外被の部分や核の部分が抗原となります。

 

また、ウイルスが体内に侵入すると、
外敵から身を守るために抗体ができます。


この抗原と抗体が、ウイルスマーカーとなります。

 

このうち、外被の表面たんぱくをHBs抗原、

核の部分をHBc抗原およびHBe抗原と呼び、
それぞれに抗体が出来ます。

 

これらが、主なウイルスマーカーとなります。

 

どの抗原や抗体が陽性をしめしているかによって、
B型肝炎の病態がわかります。

 


・無症候性キャリアの確認に

 

HBV検査は、

B型肝炎などの病気の有無や状態を調べる検査ではありますが、
もうひとつ、この検査には重要な役割があります。

 

それは、無症候性キャリアかどうかの確認、という目的です。

 

B型肝炎ウイルスが感染していても、

症状が現れていない状態の人を、
無症候性キャリアといいます。


自分がキャリアかどうか知らなければ、

その人が感染源になる恐れがありますから、
この検査目的は、とても重要な意味を持っています。

 


◆検査結果とその見方

 

マーカー:HBs抗原
検査結果:陽性
基本的な見方:現在感染中


マーカー:HBs抗体
検査結果:陽性
基本的な見方:過去に感染


マーカー:HBc抗体
検査結果:陽性低値
基本的な見方:過去に感染


マーカー:HBc抗体
検査結果:陽性高値
基本的な見方:現在感染中


マーカー:HBe抗原
検査結果:陽性
基本的な見方:感染力が強い状態


マーカー:HBe抗体
検査結果:陽性
基本的な見方:感染力が弱い状態

 


アドバイス

 

B型肝炎は、主に血液や体液により感染します。


B型肝炎の患者さんやキャリアの人には、
意思から出血時の対応や日用品の扱い、
その他の生活上のアドバイスがありますから、
それを忠実に守ることがきわめて大切です。

 

《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版