5つのアイソザイムを調べて、起きている病気を絞り込む

5つのアイソザイムを調べて、起きている病気を絞り込む


・血清乳酸脱水素酵素

 

1、どんな検査?


LDHブドウ糖がエネルギーに変わる際に働く酵素

存在する臓器が障害を受けると血中濃度が上昇するので、

それをチェックする。

 

2、異常値を示す主な病気


[高値]

肝臓がんなどの各種がん、

急性肝炎、

心筋梗塞

急性腎不全など


[低値]

先天性LDHサブユニット欠損症など


基準値
260~485IU/L
(PLO法による。検査法により大きく異なる)


LDHは体内に広く分布している


LDHは筋肉、心臓、肝臓、赤血球などを中心に、

体内に広範に分布している酵素です。

 

検査値が上昇するのは、損傷している臓器から、

LDHが血中に漏れ出してくるためです。

 

ただ、LDH値だけでは

どの臓器が損傷しているかどうかは分かりません。

 

・存在する場所によりLDHのタイプが異なる


もう少し詳しいことは、

LDHアイソザイム

(分子構造がわずかに異なる酵素群。5種類ある)を

調べて確認します。

 

存在する臓器によって、

LDHアイソザイムが異なる傾向があり、

どのアイソザイムが特に異常値を示しているかで、

起きている病気をある程度絞り込めるのです。


LDHの上昇のしかたと疑われる病気


上昇の程度:軽度/

疑われる主な病気:慢性肝炎、肝硬変、

慢性腎炎、ネフローゼ症候群

甲状腺機能低下症、膠原病、軽度の心筋梗塞など

 


上昇の程度:中等度/

疑われる主な病気:心筋梗塞、進行性筋ジストロフィー

悪性腫瘍、溶血性貧血、白血病悪性リンパ腫など

 


上昇の程度:高度/

疑われる主な病気:白血病悪性リンパ腫

溶血性貧血、悪性貧血、悪性腫瘍、進行性筋ジストロフィーなど


アドバイス


LDH値は、日常の一般的な運動のあとにも上昇します。

高値の傾向は、1週間前後続くこともあります。

また、妊娠後期にも急上昇する事があります。

ただし、いずれの場合も、治療の対象になりません。


《参考資料》
健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版